刺咬種(ツメダニ・ケラカロプシス)

(ホソツメダニ)

学名

Cheyletus eruditus(SCHRANK)

特徴

体長0.8mm内外、長卵型で淡黄橙色。
顎体はよく発達し、畳に生息することが多い。
この種のダニは吸血するわけでもなく一般種のダニを捕食しているが
一般種の生息数が多くなるとこのツメダニの生息も増加し、人に加害する。
一般種の8%前後の生息密度だと言われている。

このダニに刺咬されると、
ダニのもつ唾液と人体との抗原抗体反応を起こし発赤するが、
交代を持っていない人に刺咬しても全く反応がないため、
刺咬されたことすら感じないが、
抗体を持っている人には大きな反応を示し、
非常に長期間(約2週間)強いかゆみを与え、症状の個人差が強く表れる。

被害

夜間就寝中にはい出してきてヒトを刺す。
ツメダニは鋏角をヒトの皮膚内へ刺しこみ、
傷口から唾液を入れ、さらにヒトの体液も吸う。
刺された瞬間は痒みも腫れもないが、
1〜2日たつと皮疹ができる(遅延性のアレルギー性皮膚炎)。
すなわち、5mm前後の腫れがおこり、痒みは1週間も続くことがある。
刺されやすい部位は、太腿部、上腕部の内側、腹腰部などに集中し、
ふとんや畳などに接した側が被害を受けやすい。
部屋の壁や家具などははい登ることはない。

被害時期と発生の時期は一致し、とくに8〜9月ははげしい。
被害は築後2〜3年目の集合住宅が多い。
これは、含水量の多い畳にコナダニやコナチャタテなどが発生するためで、
そこへ補食性のツメダニが繁殖するからである。

対策法および予防

被害にあったら

1.発生源が畳である場合が多いので、
 畳を日光にあてて充分に干すのがてっとり早い。
 ツメダニは50℃で30分間加熱すれば死滅する。
 黒いビニールで畳を包む干し方が最も効率がよい。
 日光干しが充分でない場合は生き残るので、
 干した後で畳の裏側に有機リン剤(フェニトロチオン、フェンチオン)を散布する。

2.営業用のふとん乾燥車を利用する。
 乾燥機内が90〜100℃に加熱されてから1.5〜2時間は加熱されなければならない。
 高周波誘電加熱処理機によって畳を熱処理する方法も効果がある。

予防のために

1.ダニの繁殖期の前(3〜4月ごろ)に、畳の下に防虫紙を敷くか、
 殺虫剤を散布する。

2.梅雨の季節はとくに畳の含水量が増えるので、
 風通しをよくして室内を乾燥させる。
 除湿機を使用するのもよい。

3.電気掃除機で部屋のすみずみまでていねいに掃除する。
 つまり餌としてのほこりやヒョウヒダニのを除去することが大切である。
 ツメダニはヒョウヒダニを捕食するので、
 捕食されるヒョウヒダニの生息を低く抑えるような環境造りが肝要である。

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このページを作成するに当たり、

「原色図鑑
 衛生害虫と衣食住の害虫」

(安富和男・梅谷献二共著
 全国農村教育協会発行)

「都市害虫百科」
(松崎沙和子・武衛和雄共著
 朝倉書店発行)

の内容を引用させて頂きました。