一般種(チリダニ・コナダニ)

(コナヒョウダニ)

学名

Dermatophagoides farinaeHUGHES

特徴

ダニの一般種は直接的に人体に痛みを与えるものではなく、
屋内に生息するものは数十種確認されている。
その中でもヒョウヒダニの生息が一番多く、
このダニは名称の通りヒトの表皮、いわゆるフケや垢などを食している事から、
住環境に多く生息している。
ヒョウヒダニは約0.3mm、乳白色で温度25℃、湿度75%の条件を好む。
少量の生息では全く違和感を感じないが、
大量に発生すると喘息やアレルギー性鼻炎のアレルゲンとなり、
またツメダニなどの捕食性ダニの発生の原因ともなる。

ケナガコナダニは0.4mm、乳白色で、
夏季の高温多湿といった日本の気候に適したダニで、
穀物などの貯蔵食品を食害したり、
カビを食するために大量に発生し室内が白くなることがある。

病害

気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎などの
呼吸器アレルギー疾患のアレルゲンとして室内塵が重視されてきた。
患者の4分の3前後は室内のほこりが原因であるといわれる。

室内塵に多いヒョウヒダニが
これら疾患のアレルゲンとして重要であることを明らかにしたは、
オランダのVoorhorst(1964)で、
屋内塵にはヒョウヒダニが多く、ダニの繁殖期には患者も多くなり、
培養したダニの虫体エキスは微量で皮膚反応陽性となることなどを見出した。
その頃、日本においてもこの事実を裏づける成績を出し、研究は進展した。
303例のぜんそく患者について皮膚テストを行ったところ、
陽性率の高いアレルゲンは室内塵ダニで、全体の61%を占めていたという。

アレルゲンとなるのは虫体だけでなく、糞もアレルゲン性が強い。
室内塵に対するヒョウヒダニの虫体、プラス糞の重量の割合を試算した例によると、
ダニの重量は0.02mg、生涯に2,000個の糞を排泄するとして、
その割合は3.6%になるという。

ヒョウヒダニは夏から秋にかけて繁殖のピークを示すが、
この時期にぜんそくの症状も重くなる傾向がある。

眼の結膜もヒョウヒダニによりアレルギーがおこる。
また皮膚科領域では、アトビー性皮膚炎、慢性じんましんなども
ヒョウヒダニと深い関係があることが注目されている。

室内塵に住むヒョウヒダニが、
アレルゲンとして最も普遍的に存在していることから、
ダニ対策が今強く望まれている。

[ぜんそく発作の予防法]

1.患者の部屋を陽あたりのよい部屋にする。
2.室内の風通しをよくする。
3.床は板張りがよく、じゅうたんはできるだけ使用しない。
4.シーツ、枕、ふとんカバーは週1回は交換する。
5.ふとんは日光乾燥し、ほこりをたたき出す。
6.ふとん、毛布は日の細かい布でカバーする。
7.子供がアレルギーの場合、ぬいぐるみで遊ばせない。
8.ペットを部屋で飼わない。
9.部屋はすみずみまでよく掃除をする。
 アレルギーの人は、なるべく直接掃除に携わらない。
10.ダニは梅雨期以降に急増するので、
 それまでに殺虫剤(エアゾール、防虫紙など)で駆除する。

対策法

近年、ヒョウヒダニの増加した原因は、高温、多湿の影響が大きい。
住宅の構造は気密性が増し、暖房化が進み、
コンクリートの上に畳を敷き、畳の上にじゅうたんを敷きつめるなど、
ダニを増殖させる好条件を与えていると思われる。

1.畳の乾燥、熱処理
室内の換気をよくし、畳の含水量を低下させることが発生防止の基本である。
畳を天日に干すことは最も効果がある。
畳の上にじゅうたんを敷く場合には、しばしば天日に干すこと。
相対湿度が下がれば、ダニは脱水により数日から2週間以内に死滅する。
畳を高周波などの熱処理を行なうと、畳床に棲息するダニは死滅する。

2.寝具の丸洗い、掃除機による除去など
ふとんはダニアレルゲンの供給源としてとくに重要視されている。
対策としてぶとんの丸洗いがよい。
その場合、ふとんの内部まで洗剤が浸透するような方法が望ましい。
掃除機でふとんの表面を念入りに吸引することも
ダニや糞、脱皮殻の防除効果がある。
その他、布団乾燥機により温度を上昇させ、ダニの死滅をはかることができる。
シーツやカバーは家庭における洗濯でダニを除去できる。

3.殺虫剤による処理
ダニが繁殖をはじめる梅雨期までに殺虫剤による処理を行う。

市販品にはペルメトリン含有の殺虫剤が多いが、
S−421やIBTAなどの増強剤を添加したものがヒョウヒダニにはよく効く。
畳やじゅうたんなどに充分に噴霧または注入する。
とくに畳と家具の境目などは念入りにまくとよい。
乳剤は、発生場所の湿度を高めるので用いない方がよい。

ペルメトリンなどを含有する防虫紙を畳の下、
じゅうたんの下、押入れなどに敷きっめておくと、ダニの繁殖を抑制できる。

4.清掃・クリーニング
電気掃除機で部屋のすみずみまでよく掃除をすることがダニ防除に有効である。
古い機械にはフィルターの濾過機能が劣るものがあり、
かえって室内塵を拡散させることがあるので注意を要する。

じゅうたんのクリーニングは、
処理前後のダニ数は変わらないが、生ダニ率は大幅に減少する。
敷いたままのじゅうたんのシャンプーも有効な防除方法である。

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このページを作成するに当たり、

「原色図鑑
 衛生害虫と衣食住の害虫」

(安富和男・梅谷献二共著
 全国農村教育協会発行)

「都市害虫百科」
(松崎沙和子・武衛和雄共著
 朝倉書店発行)

の内容を引用させて頂きました。